
2026/08/14
【離婚】養育費が支払われなくなったらどうする?公正証書を使って差押えをする方法
ど〜も!行政書士の大川です。 離婚をする際、 「養育費として毎月5万円支払う」 という約束をして、公正証書を作ったとします。しかし、離婚してしばらくすると、 「養育費が振り込まれていないな……」 というのは、実際によくあ […]
2026/08/14

ど〜も!行政書士の大川です。
離婚をする際、
「養育費として毎月5万円支払う」
という約束をして、公正証書を作ったとします。
しかし、離婚してしばらくすると、
「養育費が振り込まれていないな……」
というのは、実際によくある話だと思います。

さて、どうしましょう…?
「払ってください」と相手に連絡をするのも、本当~~~に嫌ですよね。
かといって、今すぐ裁判を起こすのか?というと、時間もお金もかかります。
実は、離婚のときに作成した公正証書に「強制執行認諾文言」が入っていれば、養育費が支払われなくなった場合に、裁判で判決を取らなくても強制執行の手続きをすることができます。
つまり、差押えができるのです。
今回は、
「公正証書を使って、実際にどうやって差押えをするのか?」
というところを説明していきたいと思います。
まず、離婚するときに作成した公正証書に「強制執行認諾文言」は入っていますか?
ここが一番大事です。
公正証書を作成する際、養育費に関して、
「債務者(この場合は養育費を支払う側)がこの金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨を陳述した」
というような、強制執行認諾文言を入れることが大半です。
なぜなら、離婚協議書を公正証書にする最大のメリットは、ここにあるからです。
これが入っている公正証書は、強制執行をする際の「債務名義」になります。
ざっくりわかりやすく言い換えると、
「約束どおり支払わなかったら、裁判をして判決を取らなくても、差押えの手続きに進める公正証書」
ということになります。
離婚時に公正証書を作成するのであれば、養育費については強制執行認諾文言を入れておくことが重要です。
では、実際に養育費の支払いが滞ったらどういった手順を踏んでいけば良いのか?
順を追って説明していきます。
たとえば、
「毎月5万円を、子どもが20歳になるまで支払う」
という公正証書を、離婚時に作成した元夫婦がいたとします。
公正証書には強制執行認諾文言が入っており、最初の数か月は順調に支払われていました。
しかし、あるときから急に支払いが滞り、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月…
合計15万円が支払われていない状況があるとします。
この場合の大まかな流れは、
①公正証書を準備する
↓
②執行文・送達証明書を準備する
↓
③差し押さえる財産を決める
↓
④裁判所に差押えを申し立てる
↓
⑤差押えが実行され、養育費を回収する
となります。
ひとつずつ説明していきましょう。
①公正証書を準備する
まず、離婚のときに作成した公正証書の「正本」を準備します。
公正証書には、原本、正本、謄本という3種類があります。
原本は公証役場で保管するもの。
正本は強制執行などの手続きに使用するもの。
謄本は、原本、正本をコピーしたものです。
正本は通常であれば、債権者=養育費の支払いを受ける者が受け取りますので、大切に保管しておきましょう。
謄本は債務者=養育費の支払いをする者が受け取り、保管します。
強制執行の申立てには、原則として公正証書の「正本」が必要です。
万が一紛失してしまった場合には、公証役場で再交付が可能です。
そして、公正証書に強制執行認諾文言が入っていることを確認できれば、第一段階クリア!です。
②執行文と送達証明書を準備する
次に、「執行文」と「送達証明書」を準備します。
「執行文」とは、「この公正証書を使って強制執行をすることができます」ということを公証人が証明するものです。
こちらは、公正証書を作成した公証役場で付与してもらいます。
執行文は、公正証書を作成する際に付与してもらうこともできます。
将来、強制執行をする可能性を考えて、作成時に公証役場へ確認しておくと安心です。
次に、「送達証明書」です。
これは、「公正証書の内容が、相手にきちんと送達されていること」を証明する書類になります。
こちらも、公正証書を作成した公証役場で取得します。
強制執行をする段階になったら、
公正証書の正本+執行文+送達証明書
が原則として必要になります。
覚えておきましょう!
③何を差し押さえるのかを決める
「相手がお金を払ってくれないので、差し押さえてください」
と訴えるだけでは、差押えはできません。
「相手の何を差し押さえるのか」を特定する必要があります。
たとえば、相手が会社員で、勤務先が分かっている場合
→給与を差し押さえる
相手の銀行口座が分かっている
→預貯金を差し押さえる
ということが考えられますよね。
養育費の場合、給与については一般の借金などよりも差押えできる範囲が広くなっています。
また、条件を満たせば、未払いになった分だけでなく、将来の養育費についても給与を継続的に差し押さえることができます。
④裁判所に差押えを申し立てる
必要な書類がそろったら、裁判所に債権差押命令の申立てをします。
給与を差し押さえる場合には、相手の勤務先も申立ての中で特定します。
先ほどの公正証書3点セット(公正証書の正本+執行文+送達証明書)と申立書、ほかにも、
などが必要になる場合もあります。
⑤給与を差し押さえると、勤務先から支払われる
裁判所から差押命令が出ると、給与を差し押さえる場合には、相手だけでなく勤務先にも差押命令が送られます。
その後、勤務先が差し押さえられた範囲の給与を相手にそのまま渡すのではなく、養育費の債権者に支払うことになります。
つまり、
「勤務先から直接、養育費を回収する」
ということができるようになります。
ここまで来ればひとまず一安心ですね!

とはいえ……
「ない袖は振れない」というのが現実的なところです。
勤務先を辞めてしまえば給与の差押えはふりだしに戻りますし、口座を差し押さえても、そもそも残高がなければ養育費の支払いは期待できません。
公正証書があれば、養育費が支払われなくなったときに強制執行という手段を取ることができます。
しかし、公正証書を作成したからといって、確実に養育費を回収できる!ということではありません。
たとえば相手が、
という状態だったら…
差し押さえようにも、差し押さえるものがありません。
ここは、悲しいかな、法律上どれだけ強い手続きを用意しても変わることはないんですよね。
だからこそ、
「もし養育費を払ってくれなくなったら、どうする?」
というところまで考えて、離婚時に公正証書を作っておくことが大切です。
養育費は、お子さんが健やかに育つための、お子さんの権利です。
離婚時のお子さんの年齢によっては、何年、何十年と続く長い金銭債権になります。
今はきちんと話し合いができていても、数年後に相手の仕事や生活環境が変わることもあります。
そんなとき、強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、自分や子どもの生活を守ることができるかも知れません。
あまり想像したくはないですが…
養育費が支払われなくなったとき、
「払ってください」
とお願いするだけではなく、法律上用意されている強制執行の手続きを利用することができます。
離婚の際に養育費を取り決めるのであれば、金額や期限だけではなく、
「払われなくなったときにどうするのか」
まで考えて、きちんと書面に残しておくことをおすすめします。
行政書士シオン法務事務所では、離婚公正証書の作成サポートを行っています。
離婚時に決めておくべきことや、必要な手続きに関してもご案内いたします。
協議はまとまっているけど、しっかり書面に残しておきたい!という方は、是非一度ご相談くださいね。
ではまた!
行政書士 大川

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