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【事実婚】夫婦なら作っておきたい5つの書類|事実婚のパートナーを守るために

ど〜も!行政書士の大川です。

何らかの事情があって、法律婚をされない方、意外といらっしゃるかと思います。

私には干支が一周するほど長いお付き合いのパートナーがいて、娘が自立したら一緒に暮らす約束をしているのですが…
私は現在「大川朋子」という自分の名前で仕事をしていますし、できれば姓を変えたくない気持ちがあります。
かといって、相手も自営業で自分の名前で仕事をしており、どちらかの姓に合わせることで、大なり小なり不都合というものは起きてしまうのですね。

行政書士は、「職名」ということで大川姓を使い続けることも可能ではあります。
それもなんだか納得がいかない部分がありますので、早く夫婦別姓の時代が来ないかな〜と日々願っております。
夫婦別姓の時代が追い付かなければ、事実婚もアリかなというのが私の見解です。

事実婚を選ぶ皆様は、それぞれにいろんなご事情があるかと思います。
ただ、日本は法律婚の国です。
法律婚でしか認められない制度というものも、たくさんあるのが現実です。
それを埋めていくには、それに代わる契約であったり、決め事であったりを、自分たちで作っていかなければならないのですね。

今回はそんな事実婚を考えている方、すでに事実婚で生活をされている方向けに、ひとつずつ解説していきます。

事実婚というのは、婚姻届を提出していないものの、夫婦と同じような生活を営み、社会的にも夫婦に準じる関係にあるカップルのことです。

では、法律婚なら法律が用意してくれているものを、事実婚でどう補っていくのか?
事実婚の場合、法律婚なら当然に認められることが認められない、ということが、人生のいくつかの場面で出てきます。

・パートナーが不貞をはたらいてしまったとき
・パートナーが事故や病気で入院をするとき
・年を重ね、財産管理が危うくなってきたとき
・認知症を発症したとき
・最期を看取り、その後の手続きをするとき
・相続が発生したとき

こんなとき、あらかじめ作っておいた書類があれば、お互いを助けることになるかも知れません。

事実婚とはいえ夫婦なのだから、当然パートナーができる(やってくれる)でしょう、と思っていても、法律上はなかなかそうもいかないことがあります。
だからこそ、事実婚の場合は、お互いが元気で意思能力があるうちに、ふたりの間で必要なことをひとつずつ決めておくことが大切です。

具体的に、作成することをおすすめする書類としては、

・夫婦間契約書
・事務委任契約書
・任意後見契約書
・遺言書
・死後事務委任契約書

などがあります。
もちろん全ての方に全ての書類が必要というわけではありません。
おふたりの年齢や財産状況、子どもの有無、仕事や生活などの状況によって、必要なものは変わります。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

① 夫婦間契約書

まず考えておきたいのが、ふたりの間の約束です。
法律婚の場合、夫婦の財産や生活については、法律によって一定のルールが定められています。
もちろん、法律婚をしていても夫婦間でさまざまな約束をすることはできますが、事実婚の場合は特に、

「ふたりの間で何をどうするのか」
「こういうときにどういった選択をするのか」

というのを明確にしておくことが大切です。
例えば、

・生活費をそれぞれどのように負担するのか
・それぞれの財産をどう管理するのか
・共同で購入した財産をどうするのか
・仕事や事業に関する財産をどう扱うのか
・別れることになった場合、財産をどう清算するのか

などがそれにあたります。

また、夫婦間の不貞行為について、違約金や慰謝料などを含めて、一定の取り決めをしておくことも考えられます。
法律婚の夫婦だけでなく、事実婚・内縁関係でも、一定の場合には不貞行為について慰謝料を請求できることがあります。

「何が不貞に当たるのか」
「その場合、どういった対応を取るのか」
「違約金をどうするのか」

などをあらかじめ二人で決めておくと、万が一のときに安心ですね。

「そんなことまで契約書にするの?」
と思われるかもしれませんが、人生って本当に何が起こるかわからないので…
長く一緒に暮らしていくからこそ、普段はなかなか話しにくいことを、お互いが元気なうちに話しておくことには意味があります。

夫婦間契約書は、ふたりが安心して生活するための「生活のルールブック」のようなもの、と考えると分かりやすいかもしれません。

②事務委任契約書

次に、事務委任契約書です。
これは、簡単に言えば、

「自分ができないときは、この手続きをあなたにお願いします」

という契約です。
例えば、病気やけがで入院して、自分で役所や金融機関などに行くことができなくなったとき。
あるいは、仕事などで忙しく、特定の手続きをパートナーにお願いしたいとき。
そんな場合に、あらかじめパートナーに一定の事務を委任しておくことができます。
事実婚の場合、

「夫婦なのだからパートナーが手続きをしてくれるはず」

と思っていても、現実的な対応として、できないことが意外とあります。
法律上の配偶者ではないため、本人でなければできない手続きや、代理権がなければ対応できない手続きというものが、日常の中に潜んでいたりするものです。
だからこそ、元気なうちに「何を任せるのか」を決めておくことが大切です。

ただし、事務委任契約を作れば何でもパートナーができるようになるわけではありません。
手続きごとに代理の可否や必要書類が異なるため、実際にどのような事務を任せたいのか、ある程度具体的にしておくことが重要です。

③ 任意後見契約書

年齢を重ねていくと、もう一つ考えておきたいのが、判断能力が低下した場合です。
例えば認知症などによって、自分で財産を管理したり、契約をしたりすることが難しくなる場合が来るかも知れません。
このとき、

「自分の財産管理などを、この人に任せたい」

と、元気なうちに決めておくことができるのが、任意後見契約です。
事実婚のパートナーを任意後見人として指定しておけば、将来、判断能力が低下した際、パートナーに財産管理や契約等の法律行為を任せるための備えになります。

ここで大切なのは、事務委任契約と任意後見契約は同じものではないということです。
事務委任契約は、基本的に本人に判断能力がある段階でも利用できます。
一方、任意後見は、将来本人の判断能力が低下したときに備えるための制度です。
つまり、

「現在のための事務委任、将来のための任意後見」

と考えると分かりやすいでしょう。

また、任意後見は契約しただけで直ちに代理行為ができるわけではありません。
本人の判断能力が低下し、家庭裁判所によって、「任意後見監督人」が選任されてから効力が生じるという重要な点があります。
任意後見契約書はその性質上、「公正証書」で作成する必要があります。

④ 遺言書

そして、事実婚で特に重要なのが、遺言書です。
法律婚であれば、配偶者は相続人になりますが、事実婚のパートナーには、原則として法定相続権がないからです。
どれだけ長く一緒に暮らしていても、夫婦同然に40年間暮らしていた事実があったとしても、事実婚のパートナーが法定相続人になるわけではありません。

おふたりの間にお子さんがいらっしゃれば、お子さんは法定相続人になります。
もしいらっしゃらなければ、亡くなった方の親などの直系尊属、直系尊属もいなければ兄弟姉妹が相続人になります。
事実婚のパートナーの法定相続分はありません。

「自分が亡くなったら、財産をパートナーに遺したい」

という希望があるのであれば、遺言書を作成しておくことが非常に重要です。

ただし、相続人に遺留分がある場合があります。
遺言を書けば、必ずすべての財産をパートナーに渡せるとは限りません。
しかし、相手を想う気持ちを書面に遺しておくことは、遺された側にとっても大きな救いになります。

また、不動産や預貯金など財産の種類によっても、相続後の手続きは変わります。

「パートナーに財産を残したい」

という希望がある場合には、どのような財産があり、誰が相続人になるのかまでをしっかり調べて、それらを含めて考えておく必要があります。

⑤ 死後事務委任契約書

最後に、死後事務委任契約書です。
死後事務委任契約は、

「自分が亡くなった後の手続きを誰にお願いするのか」

を決めておくためのものです。
例えば、

・葬儀や火葬に関する手続き
・納骨や供養に関する手続き
・病院や施設の費用の精算
・賃貸住宅の解約や明渡し
・公共料金や携帯電話などの解約
・遺品整理
・その他、死亡後に必要となる事務

などです。
「事実婚のパートナーだから当然にすべての手続きをできる」
とは限りません。
だからこそ、

「自分が亡くなった後のことは、この人にお願いしたい」

という希望があるのであれば、元気なうちに契約をしておくことが大切です。

なお、死後事務委任契約書を作成したからといって、遺言書が不要になるわけではありません。

「財産を誰に遺すのか」は遺言書。
「亡くなった後の手続きを誰にお願いするのか」は死後事務委任契約書。

この二つは別々に考える必要があります。

ここまで5つの書類をご紹介しましたが、事実婚だからといって、必ず全部の書類を作らなければならないわけではありません。
たとえば、まだ若くて財産も少なく、生活上のルールだけ決めておきたいのであれば、夫婦間契約書だけで十分かもしれません。
一方で、ある程度年齢を重ねていて、自宅不動産などの財産がある場合。
将来の認知症や死亡後のことまで考えて備えたいのであれば、事務委任、任意後見、遺言、死後事務まで含めて検討した方がよいでしょう。

大切なのは、書類をたくさん作ることではありません。

「自分たちに何が起きたとき、相手に何をしてもらいたいのか」

を、ふたりで考えておくことです。
法律婚であれば、婚姻届という一枚の紙を提出することで、法律上の夫婦としてさまざまな権利や義務が生まれます。
一方、事実婚の場合は、ひとつひとつ、ふたりの手で約束を積み上げていかなくてはなりません。
めっちゃ大変ですよね。
法律婚って便利だな〜と思います。
でも、だからこそ、自分たちにとって何が必要なのかをふたりで考え、ふたりだけの形を、自分たちの手でつくっていくことができます。

「法律婚か、事実婚か」。

どちらが正解ということではなく、自分たちがどうやって生きていきたいのか。
その答えに合わせて、必要な準備をひとつずつしておく。
それも、ふたりで人生を作っていく方法のひとつなのだと思います。

行政書士シオン法務事務所では、事実婚に関する各種書類の作成サポートを行っております。
誰かに話すことによって、将来に対する漠然とした不安がより具体的なものになり、解決策を見つけやすくなるかも知れません。
些細なことでも結構ですので、是非一度ご相談ください。

ではまた!

行政書士 大川

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