
【離婚・遺言】「この子を残して、私に何かあったら」|離婚協議中の妊婦が遺言を残す理由
ど〜も!行政書士の大川です。 今回は、以前同業の先生からお聞きした少し切実なお話です。※特定を避けるため、若干のフェイクを入れております。 出産というのは、命をかけた大事件です。妊娠中から出産まで、お腹の赤ちゃんを守るた […]

ど〜も!行政書士の大川です。
今回は、以前同業の先生からお聞きした少し切実なお話です。
※特定を避けるため、若干のフェイクを入れております。
出産というのは、命をかけた大事件です。
妊娠中から出産まで、お腹の赤ちゃんを守るため、あらゆる不調が起こります。
そして、出産時の母体へのダメージはとても大きいものです。
「もし、出産で私に何かあったら……」
妊娠中の方なら、一度はこんなことを考えてもおかしくありません。
もちろん何事もなく無事に出産できるのが一番ですが、出産予定日が近付いてくると、
「ちゃんとこの子を産めるかな」
「私に何かあったら、この子はどうなるんだろう」
と、普段はあまり考えないようなことまで気になってしまうものです。

今回取り上げたいのは、そんな「もしものとき」を考えて、遺言書を書いた女性のお話です。
その女性は当時妊娠7ヶ月、夫の不貞行為とギャンブルで増えた借金が原因で、離婚協議中でした。
すでに夫婦としては離婚する方向で話が進んでいたものの、相手方との交渉がなかなか進まず、離婚届を提出するのに時間を要していました。
お腹の中には、もうすぐ生まれてくる赤ちゃんがいます。
もともとあまり体が丈夫な方ではなく、何度か入退院を繰り返していたそうです。
そんな彼女が心配したのが、
「もし、離婚が成立する前に私が出産で亡くなったら?」
ということでした。
ここで、少し相続の話をします。
離婚協議中であったとしても、離婚が成立していなければ、法律上は夫婦です。
つまり、妻が亡くなった時点で離婚が成立していなければ、夫には相続権があります。
子どもが生まれていれば、子どもも相続人になります。
その場合、原則として夫と子どもの法定相続分はそれぞれ2分の1です。
戸籍上はまだ夫婦という状態なので、
「離婚する予定があるから、夫には財産はいかないよね」
とはなりません。
離婚の話し合いをしていることと、法律上の夫婦であることは別の話です。
彼女が心配していたのは、単純に「夫に財産を渡したくない」ということだけではありませんでした。
生まれたばかりの子どもを残して、もし自分が亡くなってしまった場合、その子どもの相続財産について、夫が親権者として関わることになります。
もちろん、子どもを育てるためにお金が必要です。
ただ、
「私が残した財産を、夫に管理してほしくない」
「私がいなくなった後のお金のことを、自分の意思で決めておきたい」
という気持ちがありました。
夫はもともとギャンブルにハマりやすい傾向があったため、そういった思考に辿り着くのも自然なことだと思います。
自分が生きているうちなら、
「財産はこの子のために残したい」
「財産の管理は信頼できる自分の母親に任せたい」
と、自分で考えることができます。
でも、亡くなってしまったあとでは、それはできません。
だからこそ、今のうちに自分の意思を残しておきたい。
そこで出てきたひとつの答えが「遺言」でした。
ここでひとつ注意したいのが、遺言を書けば夫に一切財産がいかなくなる、というわけではないということです。
配偶者には「遺留分」という、法律上保障された最低限の相続分があります。
そのため、たとえば「全財産を子どもに相続させる」という遺言を残したとしても、夫が遺留分を請求できる場合があります。
それでも、自分が亡くなった後に財産をどうしたいのか、自分の意思を遺言という形で残しておくことには大きな意味があります。

その後、お腹はどんどん大きくなり、出産の日が少しずつ近付いてきました。
出産予定日は「○月○日」と決まっていても、実際にいつ生まれるかは神のみぞ知る状態です。
通常の遺言であれば、当事務所では公正証書遺言をおすすめしています。
しかし、ご本人に「公正証書遺言を作りたい」という気持ちがあっても、公証役場に予約を入れて、日程を調整して、その日に行くことができるかどうか分かりません。
もう産まれてしまっている可能性もありますよね。
もちろん、公正証書遺言には大きなメリットがありますが、
「予約の日が来るまでに陣痛が来たらどうしよう」
「今日はとても体調が良かったけど、明日はどうなるかわからない」
「切迫早産で早めに生まれてしまうかも…」
という状況では、予定を組むこと自体が負担になることもあります。
そこで選択肢のひとつになるのが、「自筆証書遺言保管制度」です。
自筆証書遺言とは、遺言をする本人が自筆で作成する遺言です。
「自筆証書遺言保管制度」は一定の方式に従って遺言書を作成し、それを法務局に預けて保管してもらうことができる制度です。
自宅で保管していると、紛失してしまったり、誰かに勝手に書き換えられたり、せっかく作った遺言書が発見されなかったり……
という心配がありますが、法務局で保管されるため、その点は安心です。
また、相続が開始した後の家庭裁判所による検認も不要です。
保管申請の手数料は、現在3,900円。
公正証書遺言とはまた違った選択肢として、利用しやすい制度です。
ただし、
「法務局に預ければ、遺言の内容までチェックしてもらえる」
というわけではありません。
遺言書として法律上有効な内容になっているか、誰にどの財産を残すのか、遺留分との関係はどうなるのかなど、内容については自分でしっかり考えておく必要があります。
今回のように、
「離婚することは決まっている。でも、まだ離婚は成立していない」
「もうすぐ子どもが生まれる」
「自分にもしものことがあった場合に、財産をどうしたいのか決めておきたい」
という状況では、遺言について考える意味はとても大きいと思います。
そして、遺言は一度作ったら、それで一生終わりというものでもありません。
無事に出産を終え、離婚が成立すれば、相続関係も変わります。
その後、生活状況や財産状況が変われば、遺言の内容を見直すこともできます。

「まだ若いから遺言なんて必要ない」
「遺言は高齢になってから、財産がたくさんある人が書くもの」
という先入観が先行しがちですが、意外とそんなことはありません。
遺言は、「亡くなる前の準備」というより、
「自分がいなくなったあとのことを、自分が元気なうちに決めておく」
ためのものでもあります。
特に、妊娠・出産、離婚、再婚、事実婚など、家族の形が大きく変わるタイミングでは、相続について一度考えてみる価値があります。
「この子を残して、私に何かあったら」
そんなことを考えるのは、決して縁起の悪いことではありません。
むしろ、自分がいなくなった後の我が子のことを真剣に考えているからこそ、今できる準備をしておきたい。
そんな気持ちから遺言を作る方がいるというのを聞いて、私はとても納得しました。
そして、同じ状況にある方々の不安を少しでも軽くするために、活用していただければいいな〜と思います。
離婚協議中の方や、これから出産を迎える方など、「もしものとき」の財産のことが気になっている方は、一度、遺言について考えてみてはいかがでしょうか。
行政書士シオン法務事務所では、遺言書の作成サポートを承っております。
公正証書遺言はもちろんのこと、自筆証書遺言保管制度を利用したお手伝いも積極的に行っております。
事務所はお子様連れでも大歓迎ですし、私がお客様のお近くまで出向くことも可能です。
初回のご相談は完全無料とさせていただいておりますので、ご不安やご心配がある方は、是非一度お声掛けくださいね。
ではまた!
行政書士 大川

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