
【終活】夫が亡くなったあと、義家族との関係を終わらせたい|姻族関係終了届という選択
ど〜も!行政書士の大川です。 私は普段、相続手続きや遺言書作成、終活に関するご相談をお受けしています。ご家族が亡くなったあとの相続手続きとして、預貯金の解約や不動産の名義変更、それ以外にも保険の請求や年金の手続きなどなど […]

ど〜も!行政書士の大川です。
私は普段、相続手続きや遺言書作成、終活に関するご相談をお受けしています。
ご家族が亡くなったあとの相続手続きとして、預貯金の解約や不動産の名義変更、それ以外にも保険の請求や年金の手続きなどなど……
とにかく、やることがたくさんあります。
一般的な相続手続きだと4〜6ヶ月、相続税申告が必要な場合は1年近くかかります。
亡くなった方との関係を偲ぶ間もないまま、あっという間に時が過ぎていき、手続きが少し落ち着いた頃になると、ふと頭に浮かぶことがあるのではないでしょうか。
「夫が亡くなったあとも、私はずっとこの家の『嫁』なのかな」
「夫が亡くなったあとも、夫の家族の面倒を見なければならないのだろうか…」
夫(妻)のことは大切だったし、夫婦関係に不満があったわけではないけど、義両親や義兄弟姉妹とは、正直もう関わりたくないな……
夫(妻)がいたから何とか付き合ってきたけれど、夫(妻)が亡くなったあとまでこの関係を続けなければならないのだろうか……
と。

そんな方に知っていただきたいのが、「姻族関係終了届」という制度です。
夫婦の一方が亡くなった場合、亡くなった配偶者の親族との関係は、自動的にはなくなりません。
たとえば夫が亡くなった場合でも、妻と夫の両親との関係は、そのままでは法律上の「姻族」として残ります。
夫婦が離婚した場合には、離婚によって夫婦の婚姻関係が終了するとともに、配偶者の親族との姻族関係も終了します。
つまり、配偶者と離婚すれば、相手の両親との姻族関係を終わらせるための別の届出をする必要はありません。
ところが、配偶者が亡くなった場合は違います。
夫や妻との婚姻関係は死亡によって終了しますが、義父母や義兄弟姉妹との姻族関係は、そのまま残ります。
「夫が亡くなったんだから、もう義理の家族とも法律上は他人なんじゃないの?」
と思ってしまいそうですが、そんなことはありません。
そこが「死別」と「離別」の大きな違いです。
そこで、生存している配偶者が「この姻族関係を終了させます」と届け出るための制度が、姻族関係終了届です。
「死後離婚」と呼ばれることもあるそうですが、この「死後離婚」という言葉、少し誤解を招きやすいかなと思います。
亡くなった夫と離婚するわけではないからです。
夫との婚姻関係は、死亡によってすでに終了しています。
通常の離婚では夫婦の婚姻関係が終了し、それに伴って姻族関係も終了するのに対して、姻族関係終了届で終わらせるのは「亡くなった夫の親族との法律上の親族関係」です。
夫との結婚生活をなかったことにする手続きでもありません。
そして、この届出には、通常の協議離婚のように相手方との話し合いや合意も必要ありません。
義両親や義兄弟姉妹から、
「そんなことをされたら困る」
「家族なのに」
「嫁なんだから」
と言われたとしても、相手の了承をもらわなければ出せない届出ではありません。
決めるのは、生存している配偶者本人です。

では、そもそも「姻族」であることで、何か義務があるのでしょうか。
ここは少し誤解されやすいところですが、義父母だからといって、当然に生活費を支払う義務があるわけではありません。
また、「姻族なのだから義父母を直接介護しなければならない」ということもありません。
通常の扶養義務は、まず直系血族や兄弟姉妹について定められています。
義父母と嫁(婿)は血族ではありませんので、義父母だから当然に扶養しなければならない、という関係ではないのですね。
ただし、法律上の親族関係が残っている以上、まったく何の関係もないわけでもありません。
たとえば同居している親族については、互いに助け合うという規定があります。
また、例外的に、特別な事情がある場合には、家庭裁判所が三親等内の親族に扶養義務を負わせることができるとされています。
つまり、「義母の介護を絶対しなければならない!」というような話ではありませんが、法律上の親族関係が残っている以上、一定の場面で関係が問題になる可能性はある、ということです。
だからこそ、
「私はもうこの家の嫁として生きていきたくない」
「義家族との法律上の関係も整理したい」
という方にとって、姻族関係終了届には意味があります。
ちなみに、姻族関係終了届を出したからといって、配偶者から受け取った相続財産を返さなければならないわけではありません。
配偶者が亡くなった際の相続と、その後の義家族との姻族関係は別の話です。
また、姻族関係終了届を出しても、名字が自動的に旧姓に戻るわけではありませんので、ここも離婚との違いとして少し分かりにくいところです。
婚姻によって名字を変えた方が離婚した場合は、原則として婚姻前の名字に戻ります。
一方、夫と死別した場合には、自動的に婚姻前の名字へ戻るわけではありません。
旧姓に戻りたい場合には、「復氏届」という別の手続きがあります。
つまり、
「名字は今のままでいい。でも義家族との法律上の関係は終わらせたい」
ということもできます。
反対に、旧姓には戻るけれど、義家族との姻族関係はそのまま、という選択もできます。
名前の問題と、義家族との親族関係は別々に考えることができるのですね。
そしてお子さんがいる場合、姻族関係終了届を出しても、その子どもと夫(妻)側の祖父母との血族関係がなくなるわけではありません。
自分は義両親と法律上の親族ではなくなるけれど、子どもにとってはこれまでどおり祖父母である、という関係もあり得ます。
私は、こういう制度があること自体、とても意味があると思っています。
結婚は本人同士だけではなく、その後ろにいる家族とのお付き合いが含まれるからです。
「長男の嫁なんだから」
「嫁いできたんだから」
「家族なんだから」
そんな言葉で、長い間いろいろなことを背負ってきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、義両親との関係が良好で、夫や妻が亡くなったあとも家族として付き合っていきたいのであれば、それで問題ありません。
そうではない方は、そこで関係を整理するという選択をしてもいいのでは、と私は思っています。
「親族だから」「家族だから」といって、自分の人生を犠牲にしてまで、その関係を続けなければならないわけではありません。

義家族との関係を終わらせることは、夫や妻との結婚生活を否定することではありません。
夫や妻のことを大切に思う気持ちと、夫や妻が亡くなったあとの自分の人生をどう生きるかは、別の話です。
残された人には、残された人の人生があります。
夫や妻が亡くなったあとも、ずっと「嫁」や「婿」でいなければならないわけではありません。
関係を続けてもいいし、終わらせてもいい。
これからの人生を、自分のために選び直すきっかけになれば幸いです。
行政書士シオン法務事務所では、相続手続きや終活支援を承っています。
・自分らしく生きていきたい、と考え始めた方
・家族との関係を含め、今後どう生きて行こうか迷っている方
良かったらお話聞かせてくださいね。
ではまた!
行政書士 大川

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